2019年10月01日
8/17更新 10月1日更新
「割安ハンター」のVIC(ビク)です。
今回は、個人投資家に大人気の「三菱商事」に関する内容です。
「三菱商事」の人気は何と言っても高配当!
株価がだいたい2,600円半ばであることから、配当利回りは約4.7%となっています。
しかし、三菱商事の株価はかなり下げており、含み損になってる方も多いと思います。
私も含み損です!
三菱商事の株価はこれから上がるのか、このまま下げていくのかと、とても不安な毎日を過ごしています。
ちょっとでも気が紛れるように、三菱商事はどういった企業なのか改めて確認するとともに、株価が上げるとしたらどういったことが材料になるのかなどを考えてみました。
自分用にまとめたものなので、あくまで参考ということでご理解ください。
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続きをどうぞ!
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1.総合商社1位、三菱商事の稼ぎ頭は「金属」
(1)三菱商事の稼ぎ頭は「金属」
三菱商事はご存知のとおり総合商社です。
総合商社といえば、三井物産や住友商事などありますが、三菱商事は時価総額でいうと、総合商社の中で1位となっているようです。
三菱商事は、世界約90の国・地域で、天然ガス、総合素材、石油・化学、金属資源・・・などなど色々やっています。
それは、「ポートフォリオ戦略」というものです。
(統合報告書2018)
様々なセクターを組み合わせています。
これはまるで資産運用のポートフォリオと同じですね。
色々やってるけど、何で稼いでいるのか見てみます。
(平成30年度定時株主総会招集通知 事業報告)
商社なので、年によって変動はあるのかもしれませんが、ここ最近は「金属」が当期純利益の中で一番大きいようです。
平成29年度(2017年度)からの伸びでいうと、「エネルギー事業」が大きく伸ばしているようですね!
(2)株主は信託銀行系やグループ会社
(平成30年度定時株主総会招集通知 事業報告)
大きな信託銀行系などが名を連ねています。
信託銀行系とは、年金基金などの機関投資家の代わりに株の売買などを行うところです。
なお、第3位の東京海上日動火災保険と第4位の明治安田生命保険相互はどちらも三菱グループです。
「会社四季報」によると、発行済み株式のうち、会社の役員などが保有する割合である特定株の比率は35.6%となっています。
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2.数年後に1株当たり配当金200円を目指す!
(1)配当金は将来的に60%増の200円!?
個人投資家にとって一番大事と言っても過言ではない、配当金を見てみます。
(三菱商事HP 配当情報)
「1株当たり配当金」は、2015年度が50円だったのが、2018年度には125円になっています。
残念なことに、2019年度は2018年度と変わらず125円という見通しです。
でも、三菱商事の配当は今後すごいことになるかもしれません。
三菱商事では、減配せずに利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を方針として掲げており、配当性向を30%から35%に引き上げることを目指していくようです。
(三菱商事HP 配当情報)
そして、将来の利益目標は9,000億円、配当はなんと「200円」という記載があります。
(統合報告書2018)
今後、かなりのペースで配当金を上げていかないと達成は難しいと思います。
配当金を出せるかどうかは、利益を出せているかどうかに関係します。
配当金のもととなる利益を見てみます。
(2)利益の伸びは順調
1株あたり当期純利益を見てみます。
(平成30年度定時株主総会招集通知 事業報告)
少しずつ上がってきていますね。順調だと言えると思います。
さきほどの(1)と合わせて考えると、利益を伸ばすとともに、配当も上げているという状況であることが分かります。
配当性向30%を大体守っているようです。
企業によっては、利益が出せずに配当金を半分にするなんてところもありますからね!
たとえば、三菱商事の今の1株当たり当期利益は約370円。
配当性向を35%だとして計算すると、1株当たりの配当金は約130円。
配当金200円には程遠い・・・。
利益自体を相当大きくしないとなりませんね。
(3)キャッシュフロー前年より減
配当は企業が持ってる現金で支払います。
入ってくる現金がどのくらいあるのか見てみます。
キャッシュフローですね。
(平成30年度有価証券報告書)
営業キャッシュフローは652,681百万円です。
前年と比べると、少し減っています。
ちなみに、有名な個人投資家である「かぶ1000さん」は、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの割合について話をされてました。
「かぶ1000さん」によると、
「投資キャッシュフローが営業キャッシュフローの半分」
になってると良いということでした。
三菱商事はどうなのか確認してみると、
(平成30年度有価証券報告書)
投資キャッシュフロー 273,687百万円
営業キャッシュフロー 652,681百万円
ということなので、「かぶ1000さん」の話には合致しています。
また、「かぶ1000さん」は、減価償却と設備投資の割合についても話をされていました。
しかし、三菱商事の設備投資の額が見当たりませんでしたので、こちらは割愛します。
三菱商事の利益は上がっていますが、「中期経営戦略2021」における利益目標が9,000億円となっており、目標達成に向けて働く従業員の方の負担がかなり大きくなっている可能性があります。
職場の雰囲気も悪く退職者が多いのではないかと思い、従業員の勤続年数を見てみます。
(統合報告書2018)
平均勤続年数が18.4年。
総合商社って勤続年数が長くないイメージがありましたが、そんなことはなさそうですね!
ただ、気になるのは「育児休職取得者数」です。
これが、66人。
従業員数が約6,000人に対して約1%。
総合商社では育休は取りにくいのかもしれません・・・。
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3.株価の推移と抱えるリスク
(1)株価は下落
利益の伸びに伴い、配当金も増えているという状況でした。
これを投資家がどう判断しているか。
ずっと下がっていますね。
投資家は三菱商事に対して厳しい判断をしているようです。
株価が大きく下落したらどうするか。下落相場の注意点などこちらをご覧ください。
(2)リスクは千代田化工建設とイラン
なぜ投資家は三菱商事に厳しいのか。
三菱商事を取り巻くリスクを見てみます。
リスクの1つ目は、「千代田化工建設の経営危機」です。
先日発表された2019年度の第一四半期の有価証券で事業のリスクとした新たな項目が追加されていました。
「千代田化工建設への取組」です。
(2019年度第一四半期有価証券報告書)
千代田化工建設が過去に受注したプラント建設で工事コストの大幅増加による約2,000億円の純損失を計上して経営危機に陥り、それを三菱商事が支援したという内容です。
これで一段落つくのか、それともさらなる支援が必要になるのか。
一応、千代田化工建設としては、「債務超過が解消されるとともに、資金不足となるリスクも回避されました。」としており、決算短信において、売上高の予想を前期から14.1%増のままとしています。
(千代田化工建設 2020年3月期第一四半期決算短信)
2つ目は、「米国とイランの対立激化」です。
先日発表された有価証券報告書によると、次のように記載されています。
(2019年度第一四半期有価証券報告書)
米国と中国の貿易摩擦が大きく注目されていますが、実は、米国とイランの対立も激化しています。
その対立は原油価格に影響します。
有価証券報告書にあるとおり、1バレル当たりの原油価格が1米ドル変動すると、年間25億円増減するとのことです。
ちなみに、売上収益の大半を占める「金属」に関しては、今回の第一四半期有価証券報告書に新たな記載はありませんでした。
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4.三菱商事の株価が上昇する材料
三菱商事の今後の状況は厳しいとされて、株価は大きく下がっています。
株価が下がって配当利回りが高くなっているとはいえ、これから三菱商事に投資しようと決断できない方も多いと思います。
また、三菱商事の株を既に保有している方は、株価上昇を心から願っているはず。
ということで、三菱商事の株価が上がる要素を自分なりに無理やり考えてみましたので紹介させていただきます。
(1)後から効いてくる自社株買い
次に、2019年8月1日付で発表された三菱商事の第一四半期決算短信を見てみます。
2019年4月から6月の状況です。
(2020年3月期第一四半期決算短信)
収益 3,941,312百万円(前年同期比1.7%増)
税引前利益 222,618百万円(前年同期比17.7%減)
1株当たり四半期利益は前年より大きく下がり、101.89円となっています。
今後の業績予想については、6,000億円の利益。
そして、1株当たりの当期利益は390.66円としています。
(2020年3月期第一四半期決算短信)
平成30(2018)年度の1株当たり当期利益が約370円だったことから考えると、5%以上増やさなければ390円にはなりません。
1株当たり当期利益を増やすためには、利益をもっと上げなければならない・・・。
あっ、あと株自体の数を減らせば計算上は1株あたり当期利益が高くなる!
三菱商事は5月から自社株買いをせっせとやっています!
7月の状況はこんな感じです。
三菱商事の自社株買いについては、先日個人投資家として有名な「かぶ1000さん」も個別銘柄に関する質問に対して回答されていました。
通常、自株買いをやると普通は株価が上がるんですが、株価の反応は鈍いどころが下がっています。
この自社株買いは、短期的な株価の上昇を狙ったものではなく、今後発表する1株当たり当期利益を高くするという狙いがあるのかもしれません。
1株当たり当期利益が高まっているということを市場関係者が把握した時、初めて株価は上昇するかもしれませんね!
そんなところで10月1日に自社株買いの状況が発表されていました。
順調に自社株買いが行われているようです!
(2)石油事業の改善の進展
三菱商事は総合商社として様々な事業に取り組んでいます。
その実績をグループごとに見てみると、厳しい状況であるグループもあります。
その1つが、「エネルギー事業グループ」です。
「エネルギー事業グループ」は、天然ガスや石油関係に取り組んでいるようです。
「エネルギー事業グループ」のROAは次のとおりです。
(統合報告書2018)
ROAとは、機械などの資産を使ってどのくらい利益を出しているかの割合です。
企業は得た利益を機械などの設備に投資して、来期の利益を生み出します。
ROAが低いということは、投資した資産から十分な利益を得られていないということになります。
「エネルギー事業グループ」の中でも、「石油・化学」関係に課題があるようです。
「統合報告書2018」では、こんな記載がありました。
「選択と集中を進める」ということで、事業を精査していかなければならないとしています。
先ほども三菱商事を取り巻くリスクの2つ目で、米国とイランの問題で原油の価格が不安定になるということでした。
不安定な上に、ROAも低いとなると、選択と集中はやむを得ないのだと思います。
しかし、同じグループの天然ガスは今後も期待が大きい分野のようです。
「石油事業」の改善を進展させて、利益率を上げて、株価の上昇につなげてほしいです。
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